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■慣れ親しんだ住まいの記憶を引き継ぐ−双蔵の舎(栃木県)

●住宅には、住まい手の深い思い入れと記憶が詰まっています。住宅は身近な祖先から受け継いだもので、 老朽化したからといって簡単には壊しにくいものです。改修して使用し、新築でも古材を再利用します。金銭には換えられない価値があるからでしょう。 音楽スタジオには旧宅の蔵の古材を再利用しました。
●旧蔵の梁は汚れを落として新たな天井に、旧2階床の梁も新2階床に、また旧2階床板は1階店舗におろして使いました。もろい大谷

石の代わりにコンクリートブロック(CB)を代用し、矢羽根の家紋を開口部の桟にデザインしました。

岩 為、竹内壽一
構造規模 木造一部CB造 2階建 延 228.6u
(有)川堀工務店/川堀哲男
掲 載 誌 住宅建築1992年10月号、
すまいのくらし
No.76「健康に暮らせる住まい」


南外観
旧居の蔵は1階が作業空間、 2階が家族や仲間と演奏を楽しむ空間で、小屋組が素晴らしく窓は小さいので音響効果も抜群。 とてもお気に入りだった。内部は旧宅の蔵の部材を再利用。外部は蔵のイメージを継承しながら、新しい蔵のイメージを創造した。

旧宅の大谷石造りの蔵
旧居の音楽スタジオは、明治30年代に建て主の御曾祖父が建てられたと伝えられるこの地方独特の大谷石造りの蔵にあった。



2階音楽スタジオ
小屋組材は旧蔵部材の再利用。梁に現代の棟梁の名を書き加えた。

「双蔵舎」の看板
看板は設計者のデザイン、製作は情熱的な建て主自身による。

1階音楽工房
天井も床板も旧宅の再生部材。新築時で既に古びていることを狙う。



エントランスポーチ外観
2階外壁は、セメント押し出し中空形成板、1階は大谷石の代わりにコンクリートブロック

開口部詳細
普段見慣れた何気ない風景も、透かして見ると美しい

西外観
手前に工房、奥に住居が、2つの蔵として並び、平家の作業空間でつないでいる。矢羽根の家紋を開口部にデザインし、家族の記憶を引き継ぐ。


1階音楽工房
天井、床とも旧蔵の構造材や床材を使用した

茶の間
ここは新しい建材を使用している


模 型
2つの蔵と2つの機能が
2列に並ぶ